ばね指|BANEYUBI

ばね指(弾発指)の治療は

当院ではメスを使わないで腱鞘切開する皮下腱鞘切開を行っております。

症状・原因SYMPTOMS

指には腱(けん)というヒモがあり、それによって指の曲げ伸ばしをすることが出来ます。さらに屈筋腱には、腱の浮き上がりを押さえる靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)というトンネルがあります。

屈筋腱と靭帯性腱鞘の間で炎症が起こると、指の付けねに痛み、腫れ、熱感が生じます。これを腱鞘炎と呼び、進行するとばね現象が生じます。これがばね指です。

主に妊娠時、産後や更年期の女性に起こることが多く、右手の母指に最も多く発生します。

病態PATHOLOGY

腱鞘と腱が引っかかるようになるのは、指の使いすぎによる刺激のため腱鞘が肥厚したり、腱が肥大硬化したりして、そのために一層刺激が強くなるといった悪循環を生じるためだと考えられています。

治療TREATMENT

病態や骨折後の経過期間によって治療は異なります。腱断裂では一般に保存的療法が行われます。骨折を伴う場合は手術的療法を必要とすることがあります。

  1. 保存的療法
    1. 局所の安静で刺激を少なくしましょう。時には副木を当てて固定することがあります。
    2. 腱鞘内に局麻剤入りステロイド注射をして、症状を押さえます。
  2. 手術療法
    01の保存療法で治らないときや曲がったまま動かないときなどに行います。従来の方法以外に当院では低侵襲な皮下腱鞘切開を行っております。

皮下腱鞘切開術SUBCUTANEOUS TENDON SHEATH INCISION

当院ではメスを使わないで腱鞘切開する皮下腱鞘切開を行っております。

利点

  • 切開しない低侵襲の手技なので術後の疼痛や創部痛が少なく日常生活に早期回復が望めます。
  • 通院期間が短く、医療費の負担も軽減されます。

欠点

  • 直視下に行う手技で無いので手指の正しい解剖や知識がないと血管損傷、神経損傷の可能性がある。

適応

  • 非ステロイド性消炎鎮痛剤の内服や湿布剤、また局所麻酔剤とステロイド剤の局所注射などの保存療法にて弾発現症やロッキングが改善せず、患部に疼痛があり日常生活に支障を来している方。
  • 術後の弾発現症の消失が確認できないため、弾発現症がはっきりしない腱鞘炎由来の疼痛のみの方はこの手術の適応になりません。

注意点

  • 本法で術中、及び術後症状が改善されない場合は観血手術が必要になります。
  • 長期間の弾発現象の回避の為やロッキングのために指の関節が伸びきれない屈曲拘縮がある方は、症状が改善し指の自由度の改善による術後関節痛がしばらく出現する場合があります。
  • 病変腱鞘上の皮下が腫脹している方は弾発現象が消失したあとも腫脹や疼痛が術後1~2ヶ月ほど持続する場合があります。
  • 透析患者様では術後数年で再発する可能性があります。

従来の腱鞘切開と
皮下腱鞘切開の比較

  従来の腱鞘切開術 皮下腱鞘切開術
麻酔 局所麻酔 局所麻酔
皮切 1~1.5cm切開、縫合必要 切開なし、縫合なし
手術手技 直視下で行うので安全、確実 手の解剖の知識、熟練を要する?指神経損傷に注意
術後ケア 抜糸まで7~10日の創傷処置必要 術後約1日の安静指示(個人差あり)
術後手洗い 抜糸までは禁止の施設が一般的 翌日より可(個人差あり)
術後創痛 約3ヶ月程何らかの痛みあり?(個人差あり) 術後3週間以内?(個人差あり)
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